子どものうつ病の治療法-認知療法とは

認知療法とは

 うつ病の子どもは、物事を悲観的にとらえたり、白黒はっきりつけたがる(〜でなければならない、〜するべき)傾向が強くなります。また、もともと偏った考え方をする子どもが、うつ病になりやすいということもあります。
 認知療法は、そのようなマイナス方向に偏った考え方(認知の歪み)を修正する精神療法です。子どもにも大人にも効果があるといわれています。

 

認知療法のスケジュール例

 認知療法は、診察中の会話の中から、医師や臨床心理士が子どもの認知の歪みを見つけることからスタートします。
 次に、子ども自身が認知のゆがみに気づき、より現実的な考え方ができるようになり、最終的には子どもがある状況を見る視点がいくつもあることを知り、情緒が安定するように導きます。
 治療は回数を重ねてじっくり行われます。だいたい月1〜4回、1〜6ヶ月ほど続けるのが一般的です。

 

認知療法の進み方の例
段階 事例

1.自分の認知の歪みを知る
うつ病本人と医師とで、本人にあったうつ病の認知モデルを作る。自分に起こった出来事で、自分がどんなふうに考えたか(認知)、どんなふうに感じたり行動したりしたのかといったパターンを見つける。

クラスの友達が、くすくす笑っていた。
「自分を見て笑っていると思った」
「自分のことをバカにされていると思った」
バカにされてるとマイナス方面に思い込んで、うつ病の原因となってしまった。

2.すぐに答えを出さずに他の見方を考える
起こった出来事を悪くとらえてしまったが、本当にそうだったのか、実はその中によいことがあったのではないかなど、本人と医師とで一緒に考える。これまで自分が持ってなかった考え方を見つける。

「別に笑われるようなことはしていない」
「ケンカもしてないし、さっきまで楽しくしゃべっていた」

3.どのような考え方や行動をすればよいか考える
本人と医師とで、今後どういう考え方や行動をすればよいか考える。また、それを実行に移すためにはどうしたらよいかも考える。易しいところから実行してみる。

「笑っていたのは、別の何か楽しいことがあったのかもしれない。深く考えるのはやめよう。」
「気になったら、友だちに直接聞いてみればいい」
「自分だけで考えるのではなく、一番話しやすい人に相談してみよう」

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